ゲンビどこでも企画公募2012

募集期間:2012年6月1日(金)〜7月22日(日)
展覧会:2012年9月22日(土・祝)〜10月21日(日)

■ 応募総数 106件
■ 特別審査員 靉嘔、粟田大輔、山出淳也

入選作品・展示風景


岩本賀伴/大手前大学メディア・芸術学部建築・インテリア系特設チーム《比治山公園のクモの巣小屋》


木村奈央《presage 予兆》


スナックその《荒唐無稽である特権》
観客賞


鳥公園《待つこと、こらえること》
粟田大輔賞


藤原康博《境界》
オリエンタルホテル広島賞


横田健司《sky climb》
靉嘔賞


芳木麻里絵《Silkscreen works》
山出淳也賞


オマル・ロサレス《Plasticmorphosis》

特別審査員・講評

靉嘔(アーティスト)

審査を終えて
ゲンビどこでも企画公募2012の応募用紙より次の方法で選びました
①イメージが明快なもの
②具体可能と思われるもの。
以上
靉嘔賞には横田健司《sky climb》を選びました。実現された作品を期待します。

Photo: Ichiro Otani
1931年茨城県生まれ。絵画や彫刻、立体などさまざまなモチーフを七色の虹のスペクトルで覆う作品などで知られるアーティスト。

粟田大輔(美術批評)

ヒロシマという場所性や東日本大震災について言及する作品が幾つか見られましたが、私たちにとってそれらの経験が物理的にも心理的にも決して一様でないように、ひとつひとつの表現が描き出す世界観は必然的に複雑な層をなしています。よって、とりわけ震災以降に美術のあり方を問い直す作品や言論が散見されますが、ヒロシマや震災に限らず、安易に一元化されることのない表現(それは場合によっては目立つものではないかもしれませんが)に注視していく必要があるように思います。こうした中で今回の審査では、一見普通のようだけれどどこか違和感のある状態を潜在させた案に着目しました。私たちは今、たとえばエネルギーの問題などをみても「普通」の状態を問い直さなければならない地点に立っていますが、「普通さ」の中にいかにして「違和感」を滑り込ませることができるのか。「鳥公園」による「結論の出ないガールズトークとその苛立ちの蓄積」のような、普通のようだけれどどこか違和感のある状態が会場に現れることを期待しています。

1977年東京都生まれ。美術批評を専門とし、2011年に立ち上げたアート専門のインターネット放送局[comos-tv]の運営メンバーとしても活動。

山出淳也(NPO法人 BEPPU PROJECT 代表理事)

応募作品はどれも意欲的で、レベルが高く美術館のスペースを活かした提案ばかりだった。どの作品が受賞してもおかしくなく、審査していて安心感があった。
だから逆に、ある程度完成を予想できる作品、どこかで見たことあるように感じる作品も多かったという印象もある。もっと、予想を裏切り、理解を超える作品が多く出て来ると面白い。アートはディスプレイではなく、ものの見方や考え方を変えてくれる媒体であるならば、美術館という空間や、美術それ自体にチャレンジしていく提案があってもいい。
その中で、山出賞を贈らせていただいた芳木麻里絵さんの作品は、支持体から離れ平面と立体の中間というべき仕事で、圧倒的な完成度もあわせて、是非見たい、今後一緒に仕事をしてみたいと思わせてくれる作品だと感じた。何層にも積み重ねられたフラジャイルなディティールが、時代の感覚を反映しているかのようで大変興味深い。

1970年大分県生まれ。別府現代芸術フェスティバル「混浴温泉世界」総合プロデューサー(2009、2012)。

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