ゲンビどこでも企画公募2010

募集期間:2010年6月1日(火)〜7月26日(月)
展覧会:2010年9月18日(土)~10月11日(月・祝)

■ 応募総数 144件
■ 特別審査員 都築響一、二階堂和美、森村泰昌

入選作品・展示風景


金沢寿美《パノプティコン》


忽那光一郎《風速0》


竹内邦晶《着想と失敗》
二階堂和美賞


外川麻未《certain scenes #2》
森村泰昌賞


友広剛《ぼくのまち》


中出武彦《クルマと交通》
都築響一賞


村上瑠美《ジョーの憂鬱》


太湯雅晴《LOCKER GALLERY at Hiroshima MOCA》

特別審査員・講評

都築響一(編集者)

現代美術は難しければいいというものではないけれど、「みんなで参加してお絵描きしてればハッピー」というものでもない。ユーモアは大切だけれど、悪ふざけはいらない。やさしいけれど、見るひとに媚びるのとはちがうこと。楽しいけれど、わざとめちゃくちゃやるのとはちがうこと。
長い時間と、しばしば報われない労苦の末に「わかりやすいけれど奥深い」境地に達することができたら、そこに作家の幸福がある。そしてその道のりは、どれだけ誠実に対象に向き合えるかにかかっている。ひとによっては、おもちゃのジオラマのようにしか見えないかもしれない中出さんの作品から滲み出ているのは、そういう誠実さだと思う。

二階堂和美(ミュージシャン)

おこがましいなあと思いながら失礼しました。今回企画段階での審査ということで、こちらも想像力総動員で拝見いたしました。この美術館ならではのものが意外と少なかったのは残念でしたが、一方で、一度も訪れたことがないかもしれない県外の方も多くご応募くださっていたことは嬉しくもありました。ただ、過去の参考作品が多すぎて肝心の今回の企画がみえにくくなってしまったものが結構あったように思います。
その中で、竹内邦晶さんの企画提示は非常にシンプルにまとめられていました。作品意図について作家が込めたものが伝わるかどうかはさておき、映像そのものがともかく美しく、その点でまずとても気持ちの良い印象を持ちました。ただ「すごいね」と表面張力の不思議に感じ入ったり、こぼれないギリギリの線を割り出した作家の現場を思ったり、異質なものが落ちてきてびっくりするだけでなんとなく可笑しいということに気づいたり等々、人それぞれに受け取られ方が違おうとも請け負える単純さと、だからこそ必要な磨かれた美しさが光っていました。観る場所や映し出される大きさによってまた違った印象だと思うので展示が楽しみです。

森村泰昌(美術家)

実際の作品を観ずにファイルだけで審査するのは、なかなか難しくもあり、想像力を刺激される面もあり、貴重な体験をさせていただきました。
完成度のある作品。作者の「想い」がよく伝わるアイデア。完成度は未知数だが、あまりお目にかかったことがない表現スタイル。どういうものができるかわからないのだが、なぜか気になる提案。力作。あるいは力みがないところが魅力になった表現‥‥‥。いろいろあって、実際のところ、評価がとても難しかったです。
どの応募者も、当たり前の話ですが、まだ自分自身の表現を見つけ出す途上のように見えました。そういう意味では、今後の期待、次の可能性という点を加味して、私は審査したつもりです。
今回の結果はともかく、表現は長い道のり。入選した人も、残念ながらそうならなかった人も、等しく、まだまだこれからなにかを作り出していってほしい。今回のコンペがその後押しになっていたらいいなと、切に思いました。

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