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ゲンビ「広島ブランド」デザイン公募2017

募集期間:2017年10月1日(日)~ 11月30日(木)
展覧会:2018年2月17日(土)~3月4日(日)
■ 応募総数 59件
■ 特別審査員 川上典李子、藤森照信、皆川 明

入選作品・展示風景


北川 太我《架〜KAKARI〜》川上典李子賞


博多 努(一級建築士事務所Tree)
《HIROSHIMA FAN・MIYAJIMA FAN》藤森照信賞


北山 裕貴《水が“わ”を呼び、色をつくる》皆川明賞

第2ハイツ荘(高上 旭/山本 展久)
《広島プラネタリウム》


田邊 和音《HIROSHIMA Spinning》


土屋 朱梨《Hiroshima Dialect T-shirt》


野﨑 俊佑(NOZa-maru・有建築研究所)
《ボタニカルふりカキ》観客賞


藤本 聖二《MIYAJIMA PADDLE(ミヤジマ パドル)》


森 友里歌《ハイカラさんが通る》

     

特別審査員講評


Photo: Takaaki Koshiba

川上典李子(デザインジャーナリスト)

デザイン誌「AXIS」編集部を経て現職。「AXIS」「ART AUREA」など国内外のデザイン、アート専門誌や新聞のほか、「VOGUE JAPAN」「pen」をはじめとする雑誌にも執筆中。著書に『リアライジング・デザイン』(TOTO出版)、共著に『ウラからのぞけばオモテが見える』(日経BP社)など。国際的なデザイン展の企画にも関わり、「Japanese Design Today 100」共同キュレーター(各国巡回中)、「ロンドン・デザイン・ビエンナーレ2016」日本公式展示キュレトリアル・アドバイザー(共に国際交流基金主催)。2007年より21_21 DESIGN SIGHTアソシエイトディレクター。

地域に受けつがれてきた文化や記憶、精神を、目に見えるかたちやしくみとして、どう活かしていけるのか。私自身、国内外のさまざまな方々と話をする機会が大きく増えています。それだけに今回、広島の暮らしを改めて問い直すというコンペである点に興味をもちました。
審査時に念頭においたのは、広島にちなんだユニークな提案であると同時に、社会にとって大切な視点を示してくれるかどうか。さらに深めていただく必要がありますが、実現されて広く紹介されてほしいと思う提案にも出あえました。
審査員賞の《架~KAKARI~》は、豊かな文化が連なりながら展開していく、わくわくするような「動き」そのものが起こっていくことへの願いを重ねての選出です。また、食は生命。箸を手にすることは、生きるということ。身近な道具というだけでなく、多くのことを考えさせてくれます。
地名と空の星とをつなぎ、未来へと目を向ける《広島プラネタリウム》の提案にも注目しました。
広島らしさとは何でしょう。大切にしたい価値に丁寧に向き合い、提案として伝えることで未来を築いていく。「ゲンビ『広島ブランド』」が、そうしたデザイン本来の力を実感できるものとして継続されていくことに、期待しています。

藤森照信(建築家・建築史家)

1946年長野県生まれ。東北大学、東京大学大学院で近代日本建築史を専攻。1974年に「建築探偵団」を結成、1986年に『建築探偵の冒険・東京篇』でサントリー学芸賞受賞。同年、赤瀬川原平、南伸坊らと「路上観察学会」を結成。 91年、44歳より設計を始め、植物や自然素材を建物の屋根や壁に大胆に取り込んだ建築を手がける。神長官守矢史料館(じんちょうかんもりやしりょうかん、茅野市、1991年)、赤瀬川原平氏邸(町田市、1997年)、神勝寺寺務所 松堂(福山市、2014年)等建築作品多数。

広島ブランドだからといって、広島の名所や特産を意識したほうがいいかどうかは、本気で考えていただきたい。なぜなら、似たようなものは日本全国どこにもあるからだ。
それより、どこでもできるものをまず広島が先駆的にやり、そのことを大いに言い張ることが大事。
たとえば、入選作ではないが、広島の路線図をカープ坊やの姿にした《Hiroshima Railway Network》がまだ無いなら、すぐやりましょう。外国人も多いから、英文付きで。
《ボタニカルふりカキ》は、写真にあるように野外用よりヴェランダ園芸用としてふさわしい。
《HIROSHIMA FAN・MIYAJIMA FAN》は私の一押し作品です。扇は平安時代に日本で発明された道具にして、まことに雅なもの。その折り畳み性を地図と日程に生かすのは独創的です。他の地方や都市が真似したくなるでしょう。


Photo: takashi okano

皆川 明(デザイナー)

1967年東京都生まれ。1995年に自身のファッションブランド「minä(2003年よりミナ ペルホネン minä perhonen)」を設立。時の経過により色あせることのないデザインを目指し、想像を込めたオリジナルデザインの生地による服作りを進めながら、インテリアファブリックや家具、陶磁器など暮らしに寄り添うデザインへと活動を広げている。また、デンマークKvadrat、スウェーデンKLIPPANなどのテキスタイルブランドへのデザイン提供や、朝日新聞や日本経済新聞の挿画なども手掛ける。 
個展に「1 ミナカケル ―ミナ ペルホネンの今までとこれから」(長崎県美術館、2015年)など。

この様に地域の特性をあらためて掘り起こし、地域の特性を知る機会と新しい道筋を見つける手がかりを考えることは有意義なことだと感じます。
その中で広島に今まで根付いてきたものから派生したアイデアと風景などから想起されたデザインや風景そのものへアプローチするものがありました。派生したアイデアからは確かに需要もあるように感じますが、あくまでも派生商品の範囲に感じてしまうものも多い様に感じました。その事は決して悪いことではないと思いますが、未来の広島を担っていく地域特性には少し足りないと感じます。広島の特性を既にあるものから求めすぎず、広島が持つ特性の複合的な長所を含んだブランドを考えていくことも新たな発見に繋がるのではないかと思いました。この活動そのものが広島を知ってもらう良い方法でもあるので、この取り組みを継続して深度を増していく事が重要だと思います。

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