観客賞決定!ご投票、ありがとうございました。
来場者のみなさまに、心に残った作品へ投票いただき選出される「観客賞」。
2月8日(土)から16日(日)まで投票を行い、このたび以下のとおり「観客賞」が決定しました。
●観客賞 魏双斌《広島山水》
※2月24日(月・休)まで入選作品展開催中!(展覧会情報はこちら)
えぐちりか賞
薮野圭一Keiichi Yabuno
《花を平和のシンボルに》
鳩やオリーブではなく、花を平和のシンボルに。全ての生命が共存できる地球をイメージして作られた巨大な花のドームは、日光が差し込む明るい空間となっており、市民や観光客の憩いの場となる。咲き誇る世界各国の花々は、象徴の形式を超えて訪れた人々に平和の精神を伝えるだろう。
ナカムラクニオ賞
魏双斌Wei Shuangbin
《広島山水》観客賞
広島の風景を中国山水画に見立て、シナベニヤを等高線のように何枚も重ね合わせることで「立体山水」を作り出す。現代広島の山水画を構成するのは、大鳥居や広島城といった輝かしい歴史を示す遺産だけでなく、原爆ドームや《原爆の子の像》など負のモニュメントも含まれている。
目【mé】(荒神明香/南川憲二)賞
髙田明秀Akihide Takada
《Hiroshima Peace Ring》
専用のボードの上に立ち、パドルで漕いで水上を進むウォーター・スポーツ、SUP(サップ)。宮島の名産品であるしゃもじを模したSUPボードに乗って、原爆ドーム横を流れる元安川から厳島神社まで回遊するレジャーを提案。川と海で繋がった2つの世界遺産を、スポーツを通して身近に感じることができる。
入選(五十音順)
妹尾隆志Takashi Seo
《Hiroshima platform》
広島の街を特徴的なものとしている路面電車。そのプラットフォームは車道の中央に浮かぶ島のようであり、広島平野を形成する三角州の地形と重なる。湾曲したメッシュ状の壁によってプラットフォームの透過性を高めながら、庇にしなやかさを感じさせる布を用いることで、新たな都市景観へと変貌させる。
田中マコトMakoto Tanaka
《いろしま(広島の色で誘導する案内標識)》
風景の中にある色を手がかりに、広島を訪れた人に行き先を案内する標識を制作する。標識の上部に開いている穴を覗くと、そこから見える景色の中に標識と同じ色を発見することができる。行き先をガイドするだけでなく、風景を「観る」ことの楽しみ方を同時に提示する。
西村美桜Mio Nishimura
《宇品ショッピングセンター お客様の寝泊まりくつろぎ道路》
シャッターの閉まった商店街にかつての活気を取り戻すため、ショッピングセンター内の空き店舗を観光客向けの宿泊施設にリノベーションするプラン。尾道のデニム、宮島の紅葉、折り鶴、瀬戸内特産のレモンなど、広島を感じる色とりどりの部屋が通路沿いに並ぶ。
福江美冴・滝田紗由希Misa Fukue, Sayuki Takita
《お好み焼きクリーナー》
そば入りが特徴の広島のソウルフード、お好み焼きの魅力を広めるために考えられたクリーナー。お好み焼きの形を模したポーチの中に、そばを表現したマイクロファイバーが収められており、ポーチをひっくり返して使用する。デスクの上に置かれることで面白味が生み出される。
藤本聖二Seiji Fujimoto
《TAKANOHA(タカノハ)》
広島藩の特産品として300年以上前から伝わる「銅蟲(どうちゅう)」の技法を用い、当時の藩主浅野家の家紋である「鷹の羽」の形から靴ベラを成型する。また同じ形の銅板を使って「叩く」「曲げる」などの技法を体験するワークショップも提案し、「銅蟲」への理解を深める。
えぐちりかアートディレクター/アーティスト
インスタレーションに、プロダクト、イベントや、建築にサインなどジャンルレスで広島にちなんだ様々なモノ・コトが集まりました。応募された年齢も幅広く、入選された方の年齢も20歳から78歳まで様々だったそうです。こんなに自由なデザインコンペは、今なかなかないのではないでしょうか?自由だからこそ、どんな視点で選ぶかが非常に難しかったのですが、私が選んだポイントは広島らしさとPEACEを感じるデザイン。
えぐちりか賞に選んだ薮野圭一さんのデザインはまさにPEACE。作品だけではなく周りの景色やそこでくつろぐ人までが作品の一部となるこの作品は、細部までよく考えられていて、ぜひ実際にカタチにしたいと思うものでした。広島には風化させてはいけない歴史があるからこそ、そこで暮らす人と訪れた人が平和を感じる場所であってほしい。薮野さんのアイデアからはそんな思いが感じられました。
ナカムラクニオ「6次元」店主/アートディレクター/山形ビエンナーレキュレーター
1971年東京都目黒区生まれ。日比谷高校在学中から絵画の制作をはじめ、大学卒業後は映像ディレクターとしてCM、美術、紀行番組などを演出。NHK WORLDでは日本の文化を海外に発信する番組を手がけた。2008年にブック&ギャラリー「6次元」を荻窪にオープン。著書に『人が集まる「つなぎ場」のつくり方』『パラレルキャリア』『金継ぎ手帖』『猫思考』『村上春樹語辞典』『はじめての金継ぎBOOK』『古美術手帖』などがある。
Photo : Takahiro Tsushima
目【mé】(荒神明香/南川憲二)現代アートチーム
目は、アーティスト荒神明香(広島県出身)、ディレクター南川憲二(大阪府出身)、インストーラー増井宏文(滋賀県出身)を中心メンバーとする現代アートチーム。空間を大規模に変容させるインスタレーションなど、手法やジャンルにこだわらず、私たちを取り巻く現実世界の不確かさを実感として抱かせる作品を展開している。これまで参加した主な展覧会に、「瀬戸内国際芸術祭」、「たよりない現実、この世界の在りか」(資生堂ギャラリー)、「越後妻有アートトリエンナーレ」、「目 in Beppu」、「六本木クロッシング2019展:つないでみる」(森美術館)などがある。