Manipulation−モツレル、ウンガ、ナガレノ

加賀城健《Manipulation−モツレル、ウンガ、ナガレノ》2009年

たとえば絵を見るとき、遠くから見て気に入った絵に近づいてみて、驚くことがあります。絵の奥、画布の向こう側に広がっていたはずのイメージが、じつは画布の上に盛り上がった絵具でつくられているという当たり前の事実に当面し、頭と目が刺激されるのです。

今回出品いただく加賀城健さんの《Manipulation−モツレル、ウンガ、ナガレノ》を目にした人は、まずもってその大きさに驚くでしょう。加賀城さんの指と腕の動きがそのまま定着されたこの作品は、私たちがよく目にしている抽象絵画のようにも見えますが、実際これほど大きな「絵画」を目にした記憶はほとんどないはずです。実はこの大きさは、染めものゆえに実現できた大きさでもあります。

染めものは、油彩画などとは異なって、染料が布にしみ込んでできています。いわば布の中にイメージが広がっているわけです。それを知ったうえで加賀城さんのこの作品に近寄ると、また驚かされることでしょう。独特の質感をもった布の、文字通りその「中」に、加賀城さんの身体の跡がしみ込んでいることがまざまざと伝わってくるのです。

布と身体とが対立するのではなく融和しあうそのさまが、あやしくも美しい輪郭をともなって立ち現れるところを、ぜひ会場で体感ください。

2017年11月18日(土)

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