しょうぶ学園

6月25日の日曜美術館でヌイ・プロジェクトが紹介されました。ご覧になった方も多いと思います。紹介された数々の刺繍作品にぐっとつかまれ、施設の利用者たちを見守り支援する福森施設長の言葉にハッとさせられたにちがいありません。そういう方たちは「交わる いと」にも来ていただきたいのですが、鹿児島にあるしょうぶ学園をぜひ訪れてみてほしいと思います。

http://www.shobu.jp/news.html

しょうぶ学園は知的障害者を支援する施設であると同時に、地域に開かれた憩いの場でもあります。なかにはカフェやそば屋、パン屋があって、クラフトショップやギャラリーがあります。土日ともなると近くから遠くからいろんな人たちがやって来て、笑いあいながら思い思いの時間を過ごしている、そんな場所です。

お店のひとつ「そば屋 凡太」にはじめて行ったときに感じた気持ちは、今でも忘れられません。そばを注文してすぐに、施設利用者の男性が「お水をどうぞ」とコップを持ってきてくれました。そして、水を飲む間もなくわずか1,2分で、また「お水はいかがですか?」と来てくれるので、「まだ結構です」と断ると、また1,2分で「お水はいかがですか?」と来てくれました。今度は水を飲み干して「どうもありがとう」とおかわりしました。

たったそれだけのことですが、「ここは人を優しい気持ちにしてくれる場所だなあ」と、とても充たされた気分を味わいました。知的障害者である彼ら彼女らのための施設であるより前に、全ての人をその人らしく戻してくれる場所なんだと知ったのです。素でいられる場所と言えるのかもしれません。

しょうぶ学園の手にかかればビニールハウスもこんなにキュート

以前、福森施設長がヌイ・プロジェクトの作品の魅力をこんなふうに語ってくれました。「彼らの作品に対して『美しさが染み出ている』というような表現をよくされます。その通りだと思います。つくろうと思ってつくったのではなく、できてしまった造形。(・・・)彼らの生き方としての行為が偽りなく抽出されていることが、その美しさの原点だと思っています。エネルギーはあるけどガツガツはこない。彼ら自身をそのままポッとそこに置いたような作品なんです。彼らの制作は呼吸するような感じに近いのかもしれません。『出発点がゴールだ』みたいことを言う人がいましたけど、そういう感じでしょうか。道のりがないんです。だけど長いんです、やることが」。

しょうぶ学園内にあるギャラリーでのヌイ・プロジェクトの展示風景

「自身をそのままポッとそこに置いたような」過不足のない生き方ができる場所、それがしょうぶ学園なのでしょう。

 

2017年08月02日(水)

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