【展示紹介 06】「私」の中と「私」の底

呉夏枝《Floating forest》 photo: Masakazu Ohnishi

鮮やかな原色の刺繍作品と、亜麻(あま)糸でつくられた織物が吊り下げられています。

宮田彩加の作品《MRI SM20110908》は、マーブル模様やロールシャッハテストの図像、あるいは人の顔のように見えるかもしれません。実は宮田自身の脳のMRI画像がもとになっています。脳は人間の生命機能をつかさどる器官であり、宮田というひとのいわば中心。それを彼女は、家庭用コンピュータミシンと格闘しながら刺繍して、作品化することで、自身の「外」へと投げだそうとします。

呉夏枝は、自身のルーツへと深く潜り込むことで「私」の底を抜き、「私たち」へと開かれる場所をつむごうとします。私たちはそれぞれに独立した個人として生きていますが、同時にそれを生きものとして成立させている「生それ自身」とのあいだの差異を生きています。呉は、古い歴史を持つ亜麻という素材を自身の手で染め、織ることで、私たちの生にとってのアクチュアリティを探し求めているのです。

 

宮田彩加《VISION》(左)《MRI SM20110908》(右) photo: Masakazu Ohnishi

2018年02月09日(金)

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