第64回日本伝統工芸展
今日来場くださった方が「ただ見るだけでいいってのは楽で、楽しいですね」とふともらした言葉。よく分かります。何も考えずにただ見ているだけで、伝わることは伝わるし、分かることは分かる。工芸というジャンルは、そんな悦びにとくにひらかれたもののように思います。
現在、広島県立美術館で開催中の第64回日本伝統工芸展もその悦びに浸ることのできる場です。「交わるいと」に出品くださっている北村武資さんと鈴田滋人さんの最新作も並んでいますから、染織に興味がある方は両会場を巡ってみるのもおもしろいでしょう。
写真のほぼ中央に写っているのが、鈴田滋人さんの木版摺更紗「朱雫」です。「交わるいと」には現在、2003年の「群羽葉」、2016年の「八束穂文」、同じく2016年の「舞花」が展示されているのですが、「朱雫」では2016年からの連続性はありながらもいっそう複雑な空間のゆらぎが実現されています。見る距離によってまったく別種の景色が立ち上がってくる驚きは「舞花」でも体験できますが、「朱雫」のそれはもはや別種のもののようで、かるい目眩すら感じました。
会期は、「交わるいと」の終了後からさらに一週間後の3月11日までありますが、せっかくならば二つ同時に見られる3月4日までに、ぜひ。
http://www.hpam.jp/special/index.php?mode=now
*会場撮影は、主催者の許可を得て行っています。
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