【展示紹介 08】時間と空間

上前智祐《縫立体》 photo: Masakazu Ohnishi

青い糸で縫われた立体と、青く染められた布があります。

上前智佑は長く抽象画を描いていました。緻密な点で埋めつくされたその絵は空間にうねりをもたらす同時に、画面の上に降りつもった時間を想起させます。《縫立体》のシリーズに取りくむようになるのは60歳を超えてからのこと。膝に抱えるようにして制作されたこの作品群において、時空間はぎゅっと凝縮され、上前の生命を貫く純粋で遠大なそれがそのままに浮かんでいるかのようです。

福本潮子も当初は平面作品を制作していました。自身のなかにある理想的な空間を表現する色として青にこだわり続けた彼女が、より最適な方法として藍染を選ぶに至ったのは自然なことかもしれません。しかし、そこから近年の古布のシリーズへの跳躍は大きなものといえます。素材のなかにある歴史や時間を今にひらき、どうやって未来に向けることができるのか。結果、そっと手を添えるように、わずかな面積だけを藍で染める作品が生まれたのです。

 

福本潮子作品(壁面/ただし左4点組は福本繁樹作品) photo: Masakazu Ohnishi

2018年02月12日(月)

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