【展示紹介 05】揺らぎと奥行き

photo: Masakazu Ohnishi

 

伝統的な着物と、現代的な布があります。

鈴田滋人の着物は、木版による型打ちと型紙による摺り(すり)という二つの作業の組みあわせによって生まれます。デザインに合わせて型を使いわけ、一回毎の精緻な作業をさらに生地の質感やリズムに応じて変化させながら繰り返していくのです。その作業の果てに、鈴田の着物は空間としての揺らぎを獲得します。遠くから眺める時、近くから熟視する時、それぞれにちがった景色を見せてくれるのも、この揺らぎがあるからこそでしょう。

須藤玲子の布は空間を仕切りながら、同時に着物の背景にもなっています。しかしオーガンジーゆえの透け感が、空間を分けながらつなげ、着物の気配を裏からも通します。タイトルになっている「白雨」とは、明るい空に降る雨のこと。生地の表にも裏にも施された水玉模様が布そのものの奥行きを開き、さらに着物の文様とも呼応して、空間全体を心地よく揺らします。

*2月6日から後期展示となり、会場には写真の《木版摺更紗着物「花翔文」》ではなく《木版摺更紗着物「群羽葉」》が展示されています。

2018年02月07日(水)

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