仮想の島

「-仮想の島- grandmother island 第一章」会場風景(2017年3月/MATSUO MEGUMI+VOICE GALLERY pfs/w) photo: Kazuma Makino

今年の春、呉夏枝さんから個展の案内をいただき、とても驚いたことをはっきり覚えています。そこには、こんな風に書かれていました。「自らのルーツやアイデンティティを探り、制作してきた呉夏枝は、現在、オーストラリアと日本を行き来して活動しています。その中で新たに開始した grand-mother island プロジェクトは、国という場や枠組みをとりはらい、それぞれ人の歴史や物語を、<私>ではなく<私たち>のものとして共有し、記憶するためのプロジェクトです。grandmother island とは、<私たち>の居場所となる仮想の島の名前です」。

「私」に深く潜り込むことでその底を抜き、「私たち」へと至る新たな人称を探りたい。じつは私自身もそんな風に考え、今回の展覧会の企画へとつながっていました。その時に軸となったのが、木村敏の「あいだ」をめぐる思想であり、「虚の空間」という視点でありました。呉夏枝さんにとっての「仮想の島」と言えるかもしれません。あまりの符合に職場でひとり声を挙げたほどです。

今回、呉夏枝さんはこのgrandmother island projectの第2章となる作品を、展覧会場にインストールしてくれる予定です。

 

2017年11月14日(火)

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