ソフト・スカルプチャー

「ただ布を膨らませてみたかった、風をはらむ布をつくってみたかった」という動機から、熊井恭子さんはステンレス・スチールの細い線を使って布をつくるようになりました。結果、熊井さんの作品は「工芸」として分類されることもあれば、「彫刻」として分類されることもあります。

たとえば1960年代にクレス・オルデンバーグは、ビニールや布で巨大な日用品をつくり、それが重力で歪むさまを作品として取り込みました。いわゆる「ソフト・スカルプチャー」と呼ばれたそれは、石や木、ブロンズなどの伝統的な「固い」素材ではなく、「柔らかい」素材を使用することで新たな彫刻のかたち、美術のあり方を提起しました。熊井さんの作品もまた、ファイバーワークではなくソフト・スカルプチャーと呼ぶことができるのかもしれません。

熊井さんから届いたDMには「彫刻」と大きな文字がデザインされていました。「変貌する彫刻」展。2017年9月16日(土)から11月12日まで、ギャラリー湯山(新潟県十日町市)で開催されるようです。越後妻有にある土日祝のみ開廊されるギャラリーの企画展。すこし行きにくいようですが、「工芸」として見るのか「彫刻」として見るのかによってどのような違いが生まれるのか、風を感じるのか時間を感じるのか、あるいはさらに別のものを感じるのか、興味のあるところです。

http://www.echigo-tsumari.jp/artwork/snow_art_gallery

2017年08月30日(水)

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