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コレクション展 2024-Ⅲ
ハイライト+リレーションズ[ゲストアーティスト:西島大介]

2024年12月21日(土) — 2025年4月6日(日)

西島大介《むだいさん》2020

本展では、当館コレクションの特質に親しんでいただくとともに、関連するテーマに沿った内容の展示を合わせて紹介します。第1室から第3室にかけては「ハイライト」として、それぞれの部屋に添えられたキーワードを通して収蔵作品をご覧いただきます。第4室は「リレーションズ」と題し、展示内容をコレクションに限定せず、当館の収集方針や収集された作品、あるいは、広島という地域などと関連したコレクション展示の延長線上に位置付けられる企画を実施していきます。本展では漫画家であり現代美術家としても活躍する西島大介をゲストアーティストに迎え、「キャラクターの展開図」と題し、西島が手がけてきたキャラクターの世界を展観します。

ハイライト

◯表象と身体

身体は、絵画や彫刻の身近なモチーフとしてしばしば用いられてきました。現代美術の分野では、ただ単に「ひとのかたち」を模したものだけではなく、時代や社会背景を伴った様々な表象としての身体表現が試みられています。中でも、イヴ・クラインの《ブルーのヴィーナス》は、既成の石膏像に自ら開発した鮮やかな青い顔料を吹き付けた作品で知られ、ありきたりなはずの石膏像が、クラインによって現代的で、概念的なヴィーナス像を想起させます。そして、セルフポートレートの手法を用いメイクやコスチュームで自らが様々な姿に変装する澤田知子や、奇妙に歪められた人物像を表した作品群で独自のスタイルを確立したフランシス・ベーコンなど、当館の収蔵作品の中から多様な身体の表象をご紹介します。

◯作家とスタイル

作家たちは、それぞれの探究をとおして自身の世界を創り上げていき、そうした中で独自の表現スタイルをつかみ取っていきます。そんな中、ひと目見てその作家のものと分かるような外見上の特徴や、独自の制作方法や作品づくりのシステムを備えたスタイルにたどり着いた作家たちもいます。とりわけ作風がわかりやすい形で表れている作品をご覧いただきます。

広島/ヒロシマ

被爆地としての特質を意識して語られる際、広島はしばしばカタカナで「ヒロシマ」と表記されます。当館の収集方針のひとつに「『ヒロシマ』と現代美術の関連を示す作品」があり、「ヒロシマ」をテーマとした制作委託による収集も行ってきました。広島/ヒロシマという地域性に関連付けながら生み出された作品を中心に展示します。


出品作家(※展示予定順)

舟越桂、澤田知子、高橋秀、靉嘔、菅井汲、ロバート・ロンゴ、利根山光人、恩地孝四郎、ヘンリー・ムーア、フランシス・ベーコン、イヴ・クライン、チャールズ・ウォーゼン、岡田裕子、鷹野隆大、鴫剛、川久保ジョイ、李禹煥、桑山忠明、小林孝亘、鈴木省三、アレクサンダー・カルダー、三宅一生、オノ・ヨーコ、椿昇、小沢剛、ヤノベケンジ、村上善男、松谷武判、アラン・グリーン、殿敷侃、野見山暁治、高嶺格、北辻良央、若林奮

リレーションズ

ゲストアーティスト:西島大介

キャラクターの展開図

当館の長期休館中に活躍した休館期間限定キャラクターの「無題さん」(リニューアル後は「むだいさん」)をはじめとする西島大介の描くキャラクターは、しばしば子どものような愛らしい姿で描かれます。一方で、ほのぼのとした見た目とは裏腹に、西島はベトナム戦争を題材とした『ディエンビエンフー』などでは、戦争や残酷な場面、人々の葛藤も描き出します。西島はキャラクターの制作を「設計する」「開発する」という言葉で言い表します。「マンガとして着地させるために、コンセプトや物語、キャラクターの口癖や傾向が自動的に生成される」と話すように、それはまさに鑑賞者には見えない設計図に基づき開発(Development)された存在と言えるのではないでしょうか。このセクションでは、西島自身が約20年以上にわたり制作してきたキャラクターを俯瞰し、集約した《キャラクターの展開図》と共に、絵画や立体、音楽配信やインディゲームなど様々な展開を見せていくそれぞれのキャラクターたちの世界をご覧いただきます。

イヴ・クライン《ブルーのヴィーナス》1970

小林孝亘《Gate》1997-1998

高嶺格《大東亜レインボー》2006

小沢剛《ベジタブル・ウェポン・スペシャル-牡蠣の水炊き鍋、とろとろ湯豆腐、美酒(びしょ)鍋/広島》2005

西島大介《むだいさん》2020

西島大介《シノビー&ニン丸》2018 ©ytv

西島大介《ディエンビエンフー》2007

西島大介「無題さんアドべチャー」より ©️simasima

基本情報

会期
2024年12月21日(土) — 2025年4月6日(日)
開館時間
10:00–17:00

※入場は閉館の30分前まで

会場
広島市現代美術館 A展示室
アクセス
休館日
月曜日(ただし1/13、2/24は開館)、年末年始(12/27—2025/1/1)、1/14(火)、2/25(火)
観覧料
一般350(250)円、大学生250(150)円、高校生・65歳以上150(100)円、中学生以下無料
※( )内は30名以上の団体料金
割引
【ハロー!コレクションデー】
毎月第3日曜日:コレクション展無料

西島大介(にしじま・だいすけ)

1974年、東京都生まれ。漫画家/芸術家。2004年『凹村戦争』で漫画家デビュー。2012年『すべてがちょっとずつ優しい世界』で第三回広島本大賞を受賞。代表作にベトナム戦争を描いた長編『ディエンビエンフー』(第21回および第22回文化庁メディア芸術祭マンガ部門審査員推薦作)『世界の終わりの魔法使い』など。現代美術家としても国内外の展覧会に参加し、「DJまほうつかい」ほか複数名義で音楽活動を行うなど、活動は多岐に渡る。近年は、広島市現代美術館《むだいさん》、ベルナール・ビュフェ美術館《ビュフェくん》、ytv《シノビー&ニン丸》など公的なキャラクターも数多く手がける。2020年にレーベル「島島」を設立し、マンガ、音楽、ゲームをインディペンデントに配信している。

イベント・カレンダー

開館時間10:00-17:00
TEL082-264-1121