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ペンク展
現代ドイツの闇と象徴
ベルリンの壁が崩れ、冷戦下の東西の対立構造が崩壊してから8年の歳月が流れようとしています。旧東ドイツ出身の画家A.R.ペンクの作品が、初めて西側の美術界に紹介され大きな衝撃をもたらしたのは、それよりもおよそ20年前の1960年代後半のことでした。
A.R.ペンクこと本名ラルフ・ヴィンクラーは、1939年に旧東ドイツに位置するドレスデンで生まれています。10歳から油彩画を描き始め、30代の前半には棒状人物や記号を駆使した特異な絵画によって一部の美術ファンの注目を集めるようになりました。その後、西側の美術界で作品を発表する時は、氷河期の研究で有名なドイツの地質学者アルブレヒト・ペンクに由来する画家名A.R.ペンクを語り始めます。彼の作品に現れる、一見、子どもの落書きや洞窟劇画を思わせる単純で粗々しい人物像や謎めいた記号は、「氷河期」にも擬せられた冷戦構造下で抑圧された東ドイツ市民の感情を代弁しているようにも受け取られ、硬直化が始まっていた70年代の西側の美術界にひとつのインパクトとなりました。
1980年に東ドイツから国外撤去を命じられた後は、以前にも増して旺盛な創作活動に入り、自らのテーマを東西の対立問題から、高度資本主義社会の個人における心の葛藤にシフトして、現代ドイツを代表する芸術家の一人に数えあげられています。
「現代ドイツの闇と象徴:ペンク展」は、画家兼彫刻家で音楽家でもあるA.R.ペンクの全貌をわが国で初めて明らかにするものです。絵画60点、彫刻10点の他、写真やスケッチブックまた彼の演奏するミュージックテープ等により、一人の芸術家が抱えた現代ドイツ史の「闇」と「象徴」の一端をご覧いただくことができるでしょう。
基本情報
※入場は閉館の30分前まで
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