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第3回ヒロシマ賞受賞記念
第3回ヒロシマ賞受賞記念 レオン・ゴラブ&ナンシー・スペロ展
世界最初の被爆地である広島市は、世界の平和と人類の繁栄を願う「ヒロシマの心」を、現代美術を通して全世界にアピールすることを目的として、1989年に「ヒロシマ賞」を設置しました。この賞は3年に1度、「ヒロシマの心」につながる活動を行ってきた現代作家に授与され、あわせて展覧会を開催することにより広くその業績を紹介するものです。今回で3回目を迎える受賞記念展では、受賞作家であるアメリカのレオン・ゴラブとナンシー・スペロの夫妻をとりあげ、彼らの半世紀にわたる創作活動を約80点の作品によって紹介します。
1922年シカゴ生まれのレオン・ゴラブは、戦後から現在に至るまで、古代芸術、神話そして現代のメディアからイメージを参照しながら、人間の暴力や権力欲などの実像を一貫して描き続けてきました。とりわけ、「ヴェトナム」シリーズや「尋問」シリーズをはじめとする1970年代以降の作品において、ゴラブはヴェトナム戦争や中南米の内戦あるいは現代社会における暴力などを題材としてとりあげ、しばしば政治的権力によって操作される情報の背後に隠された現実としての人権抑圧の姿を、プロパガンダとしてのスケールを伴う表現主義的なリアリズムによって告発し、見る者に人間のもつ「負」の部分に対する意識の覚醒を促してきました。
一方、1926年クリーブランド生まれのナンシー・スペロは、実存主義やフェミニズム運動への深い共感をもとに、芸術家であると同時に女性としての立場から、男性が主導的となってつくりあげてきた社会、文化そして歴史を問い直し、女性の言語によって再構成された世界像をアンチテーゼとして提示し続けてきました。「犠牲者としての女性」そして「解放された主体としての女性」を作品の中心的主題とし、政治的なドキュメントや様々な文化から引用した女性像をスクロール状の紙にプリントあるいはコラージュする手法によって、スペロは西洋美術史における絵画の伝統と規範を脱する作品を追求しました。
本展は、ゴラブとスペロの夫妻にとって、わが国、そしてアジアで最初の回顧展となります。世界的な視野にたって、反戦、非暴力そして人権擁護を訴え続けてきた彼らの真摯なヒューマニズムをヒロシマで紹介することによって、この地から平和を希求する人々にさらに強固で言葉豊かなメッセージを送ることができるものと確信しております。
基本情報
※入場は閉館の30分前まで※7月27日―8月31日は19:00まで
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