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特別展
戦後文化の軌跡 1945-1995
1945年8月15日、満州事変に端を発し第二次世界大戦へと拡大した15年戦争は、日本の敗戦によって終結しました。
それから50年、日本は、さまざまな政治的・社会的・文化的変動を経験しながら今日に至りました。
本展は、この50年間を、美術を中心に、写真、建築、デザイン、ファッション、マンガ、テレビCMなどの幅広い分野の作品と資料約600点で回顧する大掛かりな戦後視覚文化の初の総合展です。
展覧会は、敗戦の日の太陽を撮影した濱谷浩「8月15日の太陽」(1945年)に始まります。戦争の傷痕を抱えながら復興への道を模索した敗戦からの5年間には、社会の急激な変転のなかで行方を失った精神を具象化した北脇昇「クォ・ヴァディス」(1949年)、戦争の犠牲者に対する深い鎮魂に満ちた香月泰男「埋葬」(1948年)などの戦後を代表する絵画が製作されました。
次いで、米ソの厳しい冷戦下で日本経済飛躍の礎を築いた50年代には、近代化のダイナミズムを土俗的な情念に融合させた岡本太郎の「重工業」(1949年)が象徴するように産業の目覚ましい復興と躍進をみます。新時代の生活と意匠を反映した国産初の電気釜(1955年)が作られ、2DKの団地が生まれたのも1950年代のことです。その一方で、個人の存在は疎外感を深め、社会との不合理性があらわになり、ルポルタージュ・アートなどの絵画が出現しました。
急速な近代化と高度経済成長によって社会は急変し、1964年の東京オリンピックの建築やポスターなどが、近代の表現として、ひとつの頂点を示します。マンガやポスターなどの大衆文化が隆盛し、マンガ表現に新たな息吹を吹き込んだ月刊誌 ガロ、横尾忠則の日本の通俗的なデザインを今日的に生かしたポスター「腰巻お仙」(1966年)などが人気を博します。美術では近代的美術表現を打ち破ろうと、工藤哲巳の「X型基本体に於ける増殖性連鎖反応」(1960年)などのいわゆる「反芸術」の作品が現れました。
1970年、日本は万国博に沸き立ちますが、一転、オイル・ショックによって、近代の行き詰まりを目の当たりにします。視覚文化も近代に対する見直しから、新たな文化の創出へと向かいます。美術では関根伸夫の「位相―大地」(1968年)の衝撃に発したもの派のほか、概念派や美術家共闘会議の作家たちが、旧来の美術概念の限界を明らかにし、新たな表現の可能性を切り開きました。
近代的な表現から脱却した、いわゆるポストモダンの時代が幕開けし、デザインをはじめ、磯崎新らの建築、川久保玲らのファッションなどさまざまな表現領域の仕事が国際的に高い評価を得ることになります。
以上の四つの時代区分に、変革していく日本画、工芸、いけばななどを独立させた〈伝統と革新〉のテーマも組み込んでいます。
総合的分化史の視点から、戦後50年の流れの中で日本が追い求め、そして到達した自画像を、振り返る格好の機会となるでしょう。
出品作家
■美術
浜田知明、松本竣介、向井潤吉、香月泰男、福沢一郎、北脇昇、古沢岩美、丸木位里・俊、麻生三郎、岡本太郎、村井正誠、山元恵一、漆原英子、実験工房、山口勝弘、北代省三、内田巌、桂川寛、箕田源二郎、中山正、島田澄也、桂川寛、山下菊二、尾藤豊、入野達弥、草間彌生、佐藤忠良、靉嘔、河原温、池田龍雄、石井茂雄、堀内正和、利根山光人、曹良奎、朝倉摂、小山田二郎、斎藤義重、山口長男、オノサト・トシノブ、恩地孝四郎、斎藤清、駒井哲郎、棟方志功、イサム・ノグチ、瑛九、加藤正、森田子龍、加山又造、八木一夫、安原喜明、井上有一、吉原英雄、横山操、泉茂、林康夫、辻晉堂、岩橋英遠、大野俶高、一原有徳、堂本印象、池田満寿夫、加納光於、篠田桃江、三上誠、磯部行久、鈴木治、清宮質文、中村正義、山田光、星野真吾、下村良之介、片岡球子、熊倉順吉、横尾忠則、瀧口修造、小原豊雲、勅使河原蒼風、中川幸夫、金山明、難波田龍起、桜井考身、白髪一雄、嶋本昭三、田中敦子、荒川修作、村岡三郎、篠田守男、工藤哲巳、山田正亮、高松次郎、元永定正、菊畑茂久馬、村上三郎、赤瀬川原平、砂澤ビッキ、若林奮、三木富雄、篠原有司男、谷川晃一、郭徳俊、幸村真佐男、山口勝弘、多田美波、吉村益信、吉原治良、松澤宥、関根伸夫、野田哲也、菅木志雄、原口典之、野村仁、神田日勝、日和崎尊夫、柏原えつとむ、鯉江良二、松本旻、木村光祐、榎倉康二、百瀬寿、李禹煥、山崎博、北辻良央、上田薫、鴫剛、木村秀樹、河口龍夫、植松奎二、山本容子、島州一、秋山祐徳太子、斎藤智、宇佐美圭司、井田照一、三島喜美代、三輪龍作、櫃田伸也、辰野登恵子、彦坂尚嘉、北山善夫、池田良二、小清水漸、山中信夫、堀浩哉、岡崎乾二郎、柄澤齋、出口裕弘、田窪恭治、戸谷成雄、荒木高子、日比野克彦、川俣正、安斎重男、遠藤利克、中村一美、森村泰昌、舟越桂、木下晋、宮島達男、西村陽平、山口啓介、岡部昌生、日高理恵子、福田美蘭
■写真
濱谷浩、林忠彦、木村伊兵衛、土門拳、菊池俊吉、影山光洋、東松照明、名取洋之助、主婦と生活労組写真班、三池労組写真班、ジャパン・プレス写真部、永田登三、河又松次郎、奈良原一高、細江英公、川田喜久治、多木浩二、中平卓馬、森山大道、高梨豊、岡田隆彦、寺山修司、篠山紀信、荒木経惟、藤原新也、木村恒久
■建築
前川國男、アントニン・レーモンド、市浦健、丹下健三、内藤多仲、村野藤吾、山下寿郎設計事務所、黒川紀章、毛綱毅曠、磯崎新、象設計集団(共同設計:アトリエ・モビル)、石井和紘、石山修武、原広司、安藤忠雄
■デザイン
富永直樹、レイモンド・ローウィ、東京芝浦電気デザイン部、泉真也、佐々木達三、亀倉雄策、GKインダストリアルデザイン研究所、イサム・ノグチ、渡邊力、山城隆一、細谷巌、柳宗理、早川良雄、原弘、田中一光、剣持勇、岡本太郎、河野鷹思、オリンピック東京大会組織委員会デザイン室、宮野力哉、串田光弘、横尾忠則、宇野亜喜良、粟津潔、及川正通、金子國義、林静一、平野甲賀、福田繁雄、丹下健三、菊竹清訓、永井一正、中村誠、長谷川好男、石岡瑛子、浅葉克己、米谷美久、泉屋政昭、鈴木八朗、奥村靫正、杉浦康平、勝井三雄、サイトウ・マコト、松永真、戸田正寿、横尾忠則
■マンガ
長谷川町子、手塚治虫、チック・ヤング、横井福次郎、永松健夫、小松崎茂、辰巳ヨシヒロ、白土三平、水木しげる、佐藤まさあき、つげ義春、永島慎二、滝田ゆう、石ノ森章太郎、佐々木マキ、岡田史子、ちばてつや、横尾忠則、大伴昌司、林静一、つげ忠男、経葉社、真崎守、かわぐちかいじ、ダディ・グース、上村一夫、山岸凉子、萩尾望都、赤瀬川原平、山上たつひこ、諸星大二郎、石井隆、竹宮恵子、赤塚不二夫、大島弓子、いしいひさいち、宮西計三、谷岡ヤスジ、高野文子、いがらしみきお、杉浦日向子、湊谷夢吉、大友克洋、吉田秋生、内田春菊、伊藤重夫、丸尾末広、花輪和一、吉田戦車、岡崎京子、ばばこういち、いしかわじゅん、江口寿史
■ファッション
高田賢三、川久保玲、山本耀司、三宅一生
基本情報
※入場は閉館の30分前まで※7月20日・21日は19:00まで
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