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ゴーギャンとル・プルデュの画家たち 新たなる芸術を夢みて
フランス後期印象派の代表的画家として知られるポール・ゴーギャンは、1848年パリに生まれ、今世紀初頭に南海の小島タヒチで世を去りました。明るく強烈な色彩、南国の風物といった、私たちがゴーギャンに抱いているイメージは主にこのタヒチ時代に描かれた作品によるものでしょう。しかし、ゴーギャンの作品を特徴づけるこれらの要素はそれより早い時期に芽生えていました。本展は、タヒチ行き直前にあたる1889年の秋から翌年にかけてゴーギャンが滞在したフランス北西部ブルターニュ地方の小村ル・プルデュに焦点をあて、そこでの制作活動がゴーギャン芸術の形成に及ぼした歴史的意義を振り返ろうとするものです。
ゴーギャンはこの地で、ゴッホの弟テオを通じて知り合った画家メイエル・ド・ハーンらとともに、宿屋「ビュヴェット・ド・ラ・プラージュ」に滞在しました。女主人マリ・アンリは食堂をアトリエとして提供し、彼らはこの空間そのものを壁といわず、天井やドアまでも自分たちの作品で埋めつくしました。これには、「師(ゴーギャン)とその弟子たちの芸術は、ちっぽけな宿屋をアポロンの神殿に変えた」と評されるほどの傑作が含まれています。
ゴーギャンとそこに集った画家たちの芸術共同体ともいうべきル・プルデュでの制作期間は、フォルムの大胆な簡略化、強烈な色彩のコントラストといった新たなる芸術、いわゆる「綜合主義」をいっそう推し進めました。それは抽象芸術誕生への第一歩となり、その後の新しい美術の流れをつくりだすことになります。
本展は、当時のル・プルデュのマリ・アンリ・コレクションを可能な限り集め、さらにこれに関する画家たちの名作を加えて、約100点の作品により展示構成したものです。これは日本のみならず、世界でも初めての試みであり、ゴーギャン芸術の展開を理解する絶好の機会となることでしょう。また、ゴーギャンと仲間の画家たちの新たなる芸術への情熱と、その活動の歴史的意義を感じとっていただければ幸いです。
出品作家
ポール・ゴーギャン、エミール・ベルナール、ピエール・ボナール、シャルル・フィリジェ、フィンセント・ファン・ゴッホ、ル・プルデュの画家、ヤコブ・メイエル・ド・ハーン、エミール・シュフネッケル、ワスロウ・ザボクリッキー、ポール=エミール・コラン、エミール・ジョールダン、シャルル・ラヴァル、アンリ・モレ、ロドリック・オコーナー、アルマン・セガン、ポール・セリュジエ、ヤン・フェルカーデ、ウラジスラウ・スレヴィンスキー
基本情報
※入場は閉館の30分前まで
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