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特別展
ベルリン・アート・シーン
1989年11月のベルリンの壁崩壊、そして90年、統一国家の誕生という歴史的事件によって転換期を迎えたドイツ。時代の大きなうねりのなかで美術は、いま、何を語り、どう変貌していくのか。本展は、東西対立の最前線の地から新生ドイツの首都へと移り変わるベルリンの美術界にスポットをあて、その現況と来たるべき時代への方向性を検証するものである。
今回出品する12名の作家は、いずれもベルリンで制作活動を続ける新進気鋭の作家たちである。旧東ベルリンから4名、旧西ベルリンから8名、彼らは異なった立場、視点から作品を制作するが、彼らの用いるメディアもインスタレーション、絵画、立体そして写真など、各々の主義主張と造形思考を反映して多種多彩である。主として東側の作家が人間の根源的なものを主題とし、直截な感情表現を特徴とするのに対し、西側の作家は社会の構造と人間との関りを分析的・客観的に呈示する傾向にある。しかし、作品の「内容」に込められた哲学的な態度は、ドイツ美術固有の精神として東西分かち難く、双方の作品に脈々と受け継がれている。
東西両ドイツが統合を果たしたことによって、芸術家の取り組むべき主題は多様化した。統合によって揺れ動く価値観のなかで、作家は歴史、社会、あるいは文化と密接に関わる自らの時代感情を如何に表現しようとするのか。この展覧会は、まさに現在のベルリン作家の生きた声を届けるものであり、私たちはベルリンの壁なきあとの“見えないベルリンの壁”―この精神の危機状態を乗り越えようとする作家たちの強い意思を感じ取ることであろう。
出品作家
トーマス・フロアシュッツ、ライナー・ゲルス、ゲロ・グリース、イヴォンヌ・ヨークル、クラウス・キリッシュ、ヴィア・レヴァンドフスキ―、ベッティーナ・ムンク、ラファエル・ラインスベルク、オリヴァー・シュヴァルツ、ノーベルト・シュトゥック、シセル・トラース、ゲオルク・ツァイ
基本情報
※入場は閉館の30分前まで
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